全世代が楽しめる体験型音楽博物館「Haus der Musik」を日本に作りたい
池野博子
@hirokoikenomez
東京都
ウィーン国立歌劇場の近くに「Haus der Musik」(音楽の家)という博物館があります。音楽に特化した体験型の博物館です。デジタルテクノロジーを駆使して全身で音楽を体験し、理解する仕掛けに満ちています。クラシック音楽を基調としていますが、実際は音に着目した科学館です。2016年に旅行で訪問したときに衝撃だったのは、ベートーヴェンの聴力が失われていく様を体験する展示があったことです。私は音楽家ですが、ベートーヴェンが音の世界から取り残されていった様子を追体験して、本当に心が痛みました。この体験は音楽にとどまらず、多様な人を理解する(この場合は聴力障害のある方)きっかけになると思います。音楽を体験的に理解するといいつつも、音楽を素材に使うことで多くのことを学ぶこのができる素晴らしい施設でした。このようなハンズオン型の展示で有名なところにLondon Science Museum(ロンドン科学博物館)があります。2019年に訪問する機会に恵まれましたが、ここも素晴らしい施設でした。子どもも大人も夢中になる科学展示とワークショップ、サイエンスショー、映画が楽しめます。もしも夢が叶って日本版「Haus der Musik」を作ることができたら、London Science Museumの要素も付け加えて、とびきり面白いものにしたいです。私は声楽家ですが、クラシック音楽の世界は演奏する人と聴く人の融合がなかなか進展していないのが実情です。日本版「音楽の家」では年齢も性別も、障害の有無、国籍、音楽経験、経済的な差も関係なく、誰もが音楽にアクセスでき、音楽への導入からプロフェッショナルを目指す人までカバーできるような、そんな場所とコンテンツで楽しんでもらいたいと考えています。
クラシックの音楽家ですが、演奏以外に音楽ワークショップのファシリテーターとして資格の取得、大学院への進学による研究、TOKYO2020の日英共同事業への参画など、ワークショップの面では様々な勉強の機会と実践の機会を持ちながら研鑽を積んでいます。音楽と科学の融合に関しては、それらでアウトリーチができないか、コンテンツ開発を模索しているところです。会館を作るとなると莫大な費用が掛かり、今のところ個人ではできそうもありません。でも夢を言葉にしないことには何も始まらないと思い、このように言葉にしてみています。どこかでそういうテーマで科学館の1コーナーを作りたい!という方はいらっしゃらないでしょうか??
