April Dream No.058

捨てる食材をゼロにして、世界中に小鉢ひとつ分の野菜を増やす。

黄色くなった小松菜を捨てているとしたら、それはとても損をしています。カルシウムや鉄、食物繊維などの栄養素はほぼ100%残っていますし、おいしさは、作れます。それが「料理」という魔法です。
私が料理人になったのは、料理が苦手な母を助けたかったからです。母は言います。「どうせ買っても、作れないことが多いの。捨てるってことはね、金銭な後悔より罪悪感の方が辛いんだよ。」
罪悪感が嫌で料理をあきらめた、全ての方にお伝えしたいことがあります。誰でも、「食材を捨てない料理」をすることは可能です。どんな食材も、あなたの手でおいしくできます。
そのためにまず、普段あきらめてしまう「あなたの捨てる基準」をアップデートしてください。昨今叫ばれる「食品ロス」はまだ食べられるのに捨てられる食材を数えた結果です。つまりあなたが捨てている多くのものが、まだ食べられる可能性が高いのです。味が落ちたとよく言われますが、落ちた味の正体がわかれば補うことが可能です。これが「料理」をする意義であり、料理によってどんな食材でも救うことができるのです。いま、日本でさえ本来食べるべき栄養素を摂取しようとすると、食料は不足しています。貴重な食料を大切にすること、そして捨てることによる発生する料理が嫌いになる「罪悪感」を払拭してほしい。
そんな願いから、私は捨てない料理を広めています。捨てない料理の先に、今栄養不足で悩む国々に健康を届けたいという想いがあります。一度夢を諦めた私に、力をくれたのはフィリピンで出会った人々でした。死にたかった私に、懸命に生きることを教えてくれた彼らに、今度は私から「捨てないおいしい料理」をお伝えしたい。
「 #捨てない料理 」のムーブメントを作ろうと奮闘しています。日本から世界に、一緒に捨てない料理を広めませんか。