April Dream No.060

ひとの「ココロ」を「おこし」続ける和菓子屋になりたい。

私は東京(日暮里)に工場を構える和菓子メーカーの三代目で現在27歳です。2022年3月創業60年を迎えます。創業以来、家族経営で運営しており、現在は叔父、叔母と私の3名で営んでいます。当社が扱っているのは米菓子「おこし」で、実は日本で最も古い歴史を持つと言われおり、平安時代の文学にも米を加工した菓子が登場し、当時は貴族に愛好され珍重されていました。また、その名前から「身を興し、名を興し、福を興す」というように、とても縁起のよい菓子として、広く人々に愛されていました。しかし、そんな「おこし」も衰退の一途をたどっています。広く愛されていた「おこし」を復活させたい。美味しい「おこし」をみんなに食べてもらいたい。そして何よりも「おこし」で人々を元気にしたい。創業者の祖父は戦後、甘いものが貴重だった当時、素材もシンプルで安価で食べれるおこしを作って、たくさんの人に届けたい。そんな想いで当社を創業した聞いています。そして僕自身もその想いを受け継いでいます。衰退した伝統を復興させ、そして、おこし本来の「興す」という想いを多くの方々に届けるべく、2019年に「おこし」ブランド「OKOSHIYA TOKYO」を立ち上げました。おこし本来の意味合いである「興す」。100人いれば100通りの「興し方」があると思っています。久しぶりに再会する友人へ「友情おこし」夢や目標に向かって頑張っている人へ「応援おこし」支えてくれている最愛のパートナーへ「愛情おこし」新しい門出を迎える新婚夫婦へ「福おこし」そんな、無限大な「興し(おこし)」の良き伝統を継承しながらも、新たな価値創造へチャレンジし、おこしを味わう喜びだけでなく、誰かを応援したい、感謝の気持ちを伝えたい、発展を願いたいそんな人と人の「ココロ」を繋ぎ、そして、ひとの「ココロ」をちょっとでもいいから「おこし」続けられる。そんな想いのこもった和菓子屋になりたいです。